熊野古道大雲取越え

熊野古道大雲取越え
那智から標高700~800mの妙法山、大雲取山の裾を越えて
本宮を目指す、約13kmの修行道。随所に堅固な石畳が随所
に敷かれており、かつて高貴な修験者が歩いた道であった
ことが推察される。熊野川町小口を終点とし、ここからも
うひとつの修行道、熊野古道小雲取越えへとバトンタッチ
する。

那智の滝

那智の滝
熊野のランドマーク。落差133m。この滝そのものが那智
大社のご神体で、西国三十三番観音霊場一番札所、那智山
青岸渡寺の本尊・観音菩薩そのものなのである。
平安時代初期、都を追われた花山法皇はこの滝の上の原生
林の中に庵を結び、千日の行をされたという。

木の下を棲みかとすればおのずから 花見る人になりぬべきかな
石走る滝にまがいて那智の山高嶺を見れば花の白雲
(花山法皇)

木の下に住みける跡を見つるかな 那智の高嶺に花をたずねて
(西行法師)

祈願所

熊野那智大社祈願所
那智の滝の下にあるお堂。神社の所属ながら、左に不動明
王、右に役小角(役の行者)、さらに弘法大師空海、伝教
大師最澄の木像も安置している。

登立茶屋跡

登立茶屋跡
那智高原公園から本宮方面に約2km、大雲取越えの
山路で最初に出会う茶屋跡。かつてこの道は大阪、
和歌山方面への唯一の街道で、登立茶屋は田辺から
の日用雑貨、勝浦からの海産物を扱っていた。

舟見茶屋

舟見茶屋跡
眼下に那智湾、右に太地、左に新宮から熊野灘方面が
見える、眺めのよい場所にあった茶屋跡で、現在は
休憩所が設置されている。

山嶺より遠く海上を望めば島々の形態さながら刻むが
如く、島かくれ行く帆船は恰(あたか)も白扇を
散らすに異ならず、その絶景筆紙に尽くしがたし
(紀伊国名所図会)

舟見峠

舟見峠(標高883m)

色川の辻

色川の辻
ここは霧の立ち込めやすい幽玄の交差点。霧の中に、
亡くなった肉親や友人が現れる場所として知られ、
かの南方熊楠もこの地で知人の亡霊とすれ違ったと
いう。その真実は辻の地蔵のみぞ知る。

地蔵茶屋跡

地蔵茶屋跡
昭和5年(1935年)までここに茶屋があった。現在
この地には地蔵堂があり、薬師如来、十一面観音、
地蔵菩薩など32体の石仏を祭っている。これは江戸
時代、泉州堺の魚屋六兵衛が旅人の安全と先祖供養
のために寄進したものである。

円座石

円座石
大雲取越えのピーク、越前峠から地獄のような下り
が約4km続く。その終点近く、中根の宿場跡にある
高さ2mのこの岩には、熊野三山の本地仏三尊(阿
弥陀如来、薬師如来、観音菩薩)を示す梵字が3つ
刻まれている。太古の昔、熊野の神々はこの岩に腰
掛け、お茶を飲んで談笑したという。

大雲取の夜明け

大雲取山から見る熊野灘の夜明け



© Rakuten Group, Inc.